2010年05月07日

国籍法改正前の案件で「偽装はあるじゃないか」と吹き上がる愚(2009年2月)

以下のリンク先は、2009年12月14日に、本館『自由帳で数学とか物理とか』にアップされたものです。


不正認知で子供に日本国籍、中国人逮捕…服役男性の名前悪用

 外国人女性が妊娠した子供を日本人の父親が認知すれば日本国籍を取得できる「胎児認知制度」を悪用し、中国人男女の間にできた子供を不正に認知させたとして、警視庁は13日、いずれも中国籍で、東京都豊島区池袋、無職沈楠(28)と無職王宗(29)、ブローカーの足立区西新井本町、郭清清(34)の3容疑者を有印私文書偽造・同行使などの疑いで逮捕したと発表した。

 同庁は、父子の血縁関係の真偽確認に初めてDNA鑑定を活用、日本人の子供ではなかったことを特定した。

 同庁幹部によると、3人は昨年1月22日、王容疑者と沈容疑者との間にできた子供について、別の傷害事件で服役中だった川崎市の日本人男性(56)を子供の父親と偽り、この男性が認知したとする偽の認知届を東久留米市役所に提出するなど、子供に日本国籍を不正に取得させた疑い。

 この男性の戸籍を調べたところ、王容疑者との間にできた子供を認知したとの記録があった。だが、認知届の提出日に男性は服役中で、郭、沈の両容疑者が、男性の名前を悪用していたことが判明。沈容疑者が男性の紹介料80万円を郭容疑者に支払っていたこともわかったという。沈、王の両容疑者はいずれも日本人との結婚歴があり、日本の定住権を取得していた。調べに対し、「子供が日本国籍を取得すれば、日本で長く暮らせると思った」と供述しているという。

 昨年12月の国籍法改正までは、外国人女性が妊娠した胎児だけは、日本人男性の認知で日本国籍を取得できたが、改正後は、出生後に父親が認知した場合も国籍取得が可能になった。

(2009年2月13日14時08分 読売新聞)

今回のポイントは4点。
「胎児認知制度」と、「警視庁がDNA鑑定」と、「逮捕されたこと」と、「昨年1月22日」ということです。

まず、この読売の記事でダメなところがひとつ。
今回の事件と、国籍法改正案には何の関係もないのにさも関係あるような書き方をしていること。

この事件、胎児認知制度を用いたものなので、改正前から可能なんです。よって、去年12月の改正は無関係なんです。

さらに……ええ、そうです。この事件の発生は昨年1月です。国籍法の改正は昨年12月です。
この事件より国籍法改正の方が、時系列的には後なんです。
これのどこに、改正と因果関係があるのか、皆目見当がつきません。

その上、この事件でDNA鑑定が使われたことで、国籍法にDNA鑑定を云々と言い出す方も出てくるかも知れません。ですが、これは犯罪捜査なので国籍法の制度に盛り込まなくても実際できるわけですが……。
「犯罪捜査でもない限りDNA鑑定は出来ない」のであって、「犯罪捜査ならばDNA鑑定はできる」わけです。ここのところを混同して「制度としてのDNA鑑定」なんて斜め上の発想をする人が出てこないことを祈ります。

最後に。
この件は実際「逮捕」されています。
……そうです。この事件では、偽装は「摘発可能」であることの証明にしかならないわけで、この件をもって「偽装はある」と主張しても、「捕まるじゃん」で終了です。


……mixiの日記で、これが「改正前」のことで、さらに「改正前から摘発可能」で、その上「犯罪捜査でのDNA鑑定」であるという点が見えない方々が盛大に吹き上がってます^^;
国籍法に反対するんだったら、その効力の範囲くらい知ってからやれよ……と呆れてしまう今日この頃。

結局、「改正案もろくに読めない」し、「記事の内容もろくに読めない」って人が(少なくともmixiでは)反対運動をやっていることの証左にしかならなかったですね。
posted by 久間知毅 at 04:11| 国籍法改正案 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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